【運動が苦手な保護者必見】成長期のケガ、起こるポイント・治すポイント

 

☆動画の要点を記事にしています、より詳しい内容は動画をご覧下さい

☆まずは倍速でご覧頂き、必要なところだけ見返すのがお勧めです

☆具体的なお悩みは機能改善コースで解決致します

  

    

ケガが起こるポイントと治すポイント


ストレス・耐久性・回復力のバランスが鍵


☆ストレスとは

運動による負荷は全て身体に対するストレスとなります。また精神的なストレスになる事もありますね。

 

☆耐久性と回復力とは

身体の強さを耐久性といい、傷ついた身体を修復する力(自然治癒力)を回復力と言います。成長期のお子様の身体は特に元々の耐久性や生活環境による回復力に違いがある為、個々の状態に対するケアが重要です。

 

☆ポイントは適度なストレスと十分な耐久性&回復力

ストレスに耐え得る耐久性があればケガをしませんが組織は強くなりません。耐久性をやや超えるストレスがかかり、それを十分に修復することで組織は強く成長して行きます。成長期は特に元々の耐久性が低く回復力は高い状態なので、それを考慮したトレーニング&ケアをして行く事が、シンプルにただ1つのポイントです。

 

ケガが起こる理由と放置することによる危険性


成長期に多いケガの特徴


➀骨・筋肉・腱・靭帯がストレスに耐えきれずに傷ついて起こる

➁成長途中では骨が弱い為、捻挫や打撲に骨折を伴うことが多い

➂運動量増がと成長が加速する小学5年生から高校1年生で好発する

➃同学年でも成長速度は様々で4~5年程度の差がある

この記事では主に①➁について説明します。

より詳しい説明は動画をご覧下さい。

 


骨・筋肉・腱・靭帯・関節包ってなに?


☆骨

【図の白い部分(例:踵骨・腓骨)】文字通り身体の骨組みとなるものです。骨と骨の繋ぎ目を関節と言います。

 

☆筋肉

【図の赤い部分(例:腓腹筋)】縮む力があり、骨を引っ張る事で関節が動いたり安定したりします。

 

☆腱

【図の白い部分(例:アキレス腱)】筋肉が効率よく骨を引っ張る為に、硬くなった部分です。腱が無いと、ゴムで綱引きをしているようなもので、中々引っ張れないのが想像できると思います。

 

☆靭帯

【図の白い部分(例:踵腓靭帯)】骨と骨を繋ぐバンド上の硬い線維です。

 

☆関節包

【図にはなし】関節全体を包み込む硬い繊維で、靭帯と一緒に関節を安定させています。

 


成長期の骨は何が違うの?


☆骨端核と成長軟骨がある

図の緑の部分は成長軟骨と言い、骨が成長して行く時に必要な隙間で、柔らかい組織になっています。成長が終わる頃には骨になって骨端核とくっつきますが、それまでは骨と骨の繋がりが不十分で壊れやすい状態です。成長期では至る所にこの骨端核と成長軟骨がある為、骨のケガが多くなるのです。

 


なんで痛くなるの?原因はこれだ!!


☆組織が負担に耐えられず壊れる

単純に骨・筋肉・腱・靭帯・関節包などの組織が耐えられない程のストレスが加わると壊れます。ストレスは圧迫(押しつぶす力)・けん引(引っ張る力)・ねじりが組み合わさってかかります。

 

☆外傷(ケガ)と障害(故障)

中でもぶつかる・転ぶ・ねじる等、外から強い衝撃が加わって壊れることを外傷(ケガ)と言い、過度な練習量や崩れたフォームでの繰り返し動作により徐々に壊れていくものを障害(故障)と言います。外傷の代表例は骨折・脱臼・捻挫・筋挫傷で障害の代表例はオスグッドシュラッター病・ジャンパー膝・野球肘・野球肩・シンスプリントなどです。

 


休めば治るんでしょ?


☆休む事は大切です

間違いなく第一選択肢は「休む事」です。しかし休んで組織が回復しても、組織の強度・柔軟性が低下したままで練習量を増やしたり、負担のかかる動き方で動いていれば、またすぐに組織が壊れてしまいます。

 

☆成長期が終われば治るんでしょ?

成長期が終わる頃には、身体全体の強さは増すでしょう。しかし、骨の形・靭帯の強さ・身体の使い方などに後遺症として残る可能性があります。

 


足関節捻挫の後遺症


☆たかが捻挫、されど捻挫

後遺症の例として、足首の捻挫をご覧下さい。上の2枚の写真は正常な骨と靭帯、下の2枚は捻挫をした時に靭帯が付いている腓骨と言う骨が剥がれて、反対についている距骨まで移動している例です。足首を前に引き出したときに骨がズルっと動く不安定性も確認出来ます。剥がれた骨は遊離骨片と言って、そのまま移動したところで安定することもあれば、関節の間に挟まって悪さをする事もあります。不安定性は長期的に見ると関節の変形を起こす原因になります。成長期はこのように靭帯だけでなく「骨」が剥がれる「裂離(剥離)骨折」が多い為、ケガをした時の最初の対応がとても大切なのです。捻挫についてはまた別の機会に詳しくお話しします。

 


オスグッド・シュラッター病の後遺症


☆無理して運動を続けてしまいがち

オスグッド・シュラッター病も成長期に多いスポーツ障害です。特にサッカー・バレーボール・バスケットボール・テニスなど走る・飛ぶ・止まる・切り返すなどの動作の繰り返しで発症します。また「成長スパート期に多い」「練習量が多い」「股関節が上手く使えていない」などの特徴があり、これらを考慮してケア&トレーニングを行う必要があります。上の写真は成人のオスグッドで、出っ張っている骨自体は安定しており床に正座などして当たらなければ痛くないそうですが、重症例は運動によって痛みがぶり返し手術に至るケースもあります。こちらの対処方法も別の機会にお話しします。

 

予防と改善方法の基礎


じゃあどうすれば良いの?


☆ポイントは2つ

「➀過度な負担を減らして組織の回復を促す」ことと「②適度な負荷をかけて組織の強度を高める」ことです。

 

☆トレーニング面

痛みが強くならないよう「練習量の調整」を行いつつ、不必要な負荷が掛からないように「動き方を変える」練習も行いながら、組織の回復と強度アップを促して行きましょう。

 

☆ケア面

「睡眠と食事の質」を高めて自然治癒力を促し、「ストレッチやマッサージ」などで組織循環を促すことで組織の回復と強度アップを促して行きましょう。当たり前すぎて意外と軽視され易いですが、「成長に必要な分+運動で消耗した分」を回復させるには「睡眠と食事の質」が最重要です。

 


後遺症って言われても・・・


☆休みたくないな~、休めないよ・・・

そうは言っても実際は休みたくない、休めないと思っている子が多いように思います。休むなんて「面白くない・下手になる気がする・仲間に申し訳ない」と言う理由や、「親が許してくれない・監督コーチが許してくれない・先輩が許してくれない」と言う理由など、本人にも色々葛藤がある事でしょう。ご家族の方も「休んだらパフォーマンスが落ちるんじゃないか・多少のケガで弱音を吐かないで強い心を持って欲しい・スポーツ出来ないのは可哀そうだからやらせてあげたい」と言う理由で中々休ませられない事も多いのではないでしょうか?確かに当事者としてはこういう感情になる事は痛いほどわかります。しかし、一歩下がって考えてみると、これにはいくつかの誤解が隠されています。これについてもまた別の機会にお話しします。

 


成長期に多いケガの特徴 まとめ


☆子供の身体に耐えられない程の負荷が掛かって「組織が壊れている状態」

☆休養・セルフケア・動きの改善で「組織の回復&強度を高める」必要がある

☆成長期の過度な追い込みは「後遺症を残す可能性がある」ので要注意

☆成長速度は個人差が大きい為「個々への対応が必要」

成長期の特徴を知って、お子様の身体を守りましょう!!