成長期の脊柱側弯症はストレッチと運動療法で手術回避出来る?

側弯症に対するストレッチと運動療法は効果があるのか?

    

【目次】

➀側弯症治療で有効なのはコルセットと手術のみと言うけれど

 ・思春期特発性側弯症の治療は経過観察⇒コルセット⇒手術

 ・経過観察中に出来る事は無いか?

 ・コルセットとの併用が大切

 ・運動で治るのか?

 ・成人女性の側弯症は治らない?

 ・背骨の曲がり2つのタイプ

 ・キーポイントは親

➁側弯症コンディショニングをする理由

 ・運動不足解消

 ・心と体のコントロール

 ・側弯症とダイエット

 ・側弯症と足

 ・【超重要】機能性側弯症は治る

➂TTC横浜式側弯症コンディショニング

 ・自分の状態を確認する

 ・胸郭の柔軟性向上

 ・体幹の安定性向上

 ・足の安定性向上

 ・心の安定性向上

 ・実際のコンディショニング頻度

 

思春期脊柱特発性側弯症の背骨の曲がり方

    


側弯症治療で有効なのはコルセットと手術のみと言うけれど・・・


学生に多い特発性側弯症の特徴

    

☆思春期特発性側弯症の治療は経過観察⇒コルセット⇒手術

現在の思春期特発性側弯症の治療は「学校検診で発見」⇒「整形外科で経過観察」⇒「進行すればコルセット」⇒「更に進行すれば手術」と言う流れです。運動療法はエビデンスが無いと言う事で、多くの病院では選択肢にすら上がってきません。東京都や神奈川県では「慶応義塾大学病院」「北里大学病院」をはじめ「神奈川県立こども医療センター」「済生会横浜市東部病院」「けいゆう病院」など名立たる病院で脊椎外科・側弯症外来がありますが、やはり運動の話は積極的には出てきません。しかし、後に説明する「構築性側弯症と機能性側弯症(超重要)」の事を考えると必ず運動は必要です

 

学校検診で気付く女子学生の特発性側弯症の特徴

      

☆経過観察中に出来る事は無いか?

私がリハビリテーションスタッフとして勤務していた病院では、学校検診で側弯症疑いと言われた患者さんや「手術を避けたい!」「経過観察中に出来る事は無いのか?」と言う切羽詰まった患者さんまで、北海道・東北・関東・中部・近畿・四国・九州など全国各地からいらしており、私としても「何とか出来る事は無いか?」と模索していました。そんな中行きついたのが「シュロス法」と言う側弯症に対する運動療法です。ドイツでは100年ほど前からある治療法で保険適応にもなっています。しかし、3週間以上の合宿形式で行うハードな治療法でもある為、なかなか日本の医療現場には浸透せずにいます。「それでも何とか方法は無いか?」と試行錯誤した結果、現在では独自の方法で側弯症に向き合うコンディショニングを提供出来るようになりました。

 

特発性側弯症のカーブ(曲がり)角度基準

     

☆コルセットとの併用が大切

角度が25°以上の場合はコルセットと運動を併用するのが一番良い方法です。「熱い・動き難い・見栄えが悪い」と言う事で、コルセットを嫌がる女の子もいますが、コルセットは重要です。自分の身体を理解して、いかにメンテナンスしていけるかが大切です。良く考えてみると、側弯症の有無に関わらず「現代人は姿勢が悪い・運動量が少ない」と言われている中で、側弯症の方が姿勢を気にしない・運動を行わなくて良い理由はどこにも無いのです。「姿勢が気になる人はここを意識すると良いですよ。」「膝が気になる人はここを意識すると良いですよ。」と言うのと同じで、運動を行う事は「大前提」として「側弯症の人はここを意識すると良いですよ。」という特徴的なポイントがあるだけなのです。

 

特発性側弯症の遺伝と姿勢の関係

     

☆運動で治るのか?

下の写真をみて「えっ治るの!?」と思う方もいるでしょう。何をもって治ると言うかはまた難しいものですが、これは治っているのではありません。本人がコントロールして一時的に「改善させている」のです。しかし、ここまで出来るのであれば「運動療法は全く意味が無い」とも言い切れないのでは無いでしょうか?現在は手術とコルセットのみ効果があると言われています。手術は直接、コルセットは外側から物理的に背骨の形を整えて矯正する方法ですが、それが効果的であるならば自分の筋肉と感覚を鍛えて背骨の形を整える「運動療法」も可能性はあると思いませんか?

 

特発性側弯症の運動・体操の必要性

  

☆成人女性の側弯症は治らない?

元々小学生の女子に多い特発性側弯症ですが、くびれの違い・バストの左右差・O脚・偏平足・肩こり腰痛などにより、大人になって気になる女性は結構多いです。成人の場合は骨の成長が止まっている為コルセットは適用外なので、やることは電気治療か運動療法のみです。しかし、整形外科や整体でも中々専門的に勉強している先生は少ないのが現状です。また、ヨガやピラティスを行う方もいますが、無理に行うと腰を痛める為「自分のカーブタイプを知る」事が非常に重要です。まずは整形外科でレントゲンを撮りそれを基に運動を行うようにしましょう。お困りの方はご相談下さい。

 

☆背骨の曲がり2つのタイプ

背骨の曲がり方には大きく分けて「胸がメインのカーブ」と「腰がメインのカーブ」の2つのタイプがあります。そこに首や骨盤の状態が組み合わさります。自分はどのタイプなのかを本人が把握して運動を行う事で、より効果的な身体の使い方が出来るようになります。

 

特発性側弯症のカーブ(曲がり)タイプ

     

☆キーポイントは親

思春期特発性側弯症は、その名の通り小学生~高校生の時期に発症します。男女比は圧倒的に女の子に多く、本人は特に違和感が無い為「いつのまにか進行していた」ということも少なくありません。真の側弯症は「姿勢が悪いから」ではなく「骨がそのように成長するから」である為、全く本人のせいではありません。でも、親御様のせいでもありません。お子様にきつく当たったり、ご自分を責める親御様もいます。どうにかその状況から抜け出して頂きたい。「誰のせい」でもないですが、未成年であるお子様の状態変化やそれに対する方針決定権は実質親御様が握っています。これまで色々なご家族とお会いしてきましたが・・・本当に色々なご家族がありますが・・・親子二人三脚+私で最善の方法を探して行きましょう!!親御様の心と体の健康状態がお子様の心と体の健康にも大きく伝わります。

 

       

☆お気軽に御相談下さい

本人・ご家族共に色々とお悩みの事と思います。TTCは完全パーソナルスペースなので、どうぞお気軽に御相談下さい。しかし「運動で絶対に治りますか?」と言うご質問に関してはお答えできません。もちろん「治って欲しい!!」「その為に全力を尽くす!!」と言う想いで対応させて頂きますが「現状を把握して、上手に付き合っていく方法を身に付ける。」と言うのが運動療法の本質かと思います。どうぞご理解の上ご連絡ください。

 


側弯症コンディショニングをする理由


☆運動不足解消

側弯症の方にはそもそも「運動不足」の方が多くいます。自分の身体を支える筋肉が無ければ倒れる一方ですよ!!もちろん普段から運動をしている方もいます。そういう方は「正しい姿勢」を身につけることで身体の使い方の偏りを軽減し、進行予防&パフォーマンスアップに繋げましょう。オリンピックや世界陸上でも活躍した人類最速の男、陸上短距離の「ウサイン・ボルト選手」も側弯症であるという話はご存知ですか?

 

☆心と体のコントロール

「自分の身体の状態を知る、改善方法がわかる」という事は生きてゆく上で非常に有用なことです。しかし「学校では教えてくれない」為、皆ケガをしたりパフォーマンスが落ちた時に「なんでだろう?なんでだろう?」と不必要に悩むことになります。自分の体を少しでもコントロール出来ると、パフォーマンスや感情もコントロール出来るようになってきます。

 

☆側弯症とダイエット

側弯症の子がダイエットに取り組む場合の注意点は「痩せ過ぎ」と「無理な腹筋運動」です。3食しっかりと栄養をとり、背骨のカーブに合わせた運動の仕方を身に付けましょう。親子共にコンプレックス・恥・罪悪感がある場合は、「心のデトックス」も必要です。

 

☆側弯症と足

背骨のカーブタイプによって体重の乗る位置が右寄り・左寄りと変わってきます。それが大きくなりすぎると腿の横(大転子)の出っ張り・O脚・偏平足などが強くなります。子供の頃はあまり意識しないと思いますが、美容・健康・スポーツパフォーマンスを考えると、体を上手く使う事はとても有効です。

 

☆【超重要】機能性側弯症は治る

実は・・・運動で治る側弯症があります。特別な原因無く背骨が回旋を伴って曲がり、それが構造的に固まってしまう「構築性側弯症」。これがいわゆる手術でしか治らない「真の特発性側弯症」です。逆に曲がる原因があって、その原因が解消すれば改善するのが「機能性側弯症」。「なんのこっちゃ?」ですよね。とにかく思春期の側弯症は「背骨が横に曲がり易い状態(構築性)だから、何も考えずにいると重力に押されて更に曲がってゆく(機能性)」ということです。ですので逆を言えば「重力に負けない力と感覚があればそれ以上曲がらない」と言えます。成長期の段階では、どこまでが構築性でどこからが機能性か正確にわからない状態なのに「何もしないで諦めるのはまだ早い!!」という話です。さ・ら・に骨は圧力をかけると変形します。高齢になると頻発する「変形性腰椎症」「変形性膝関節症」は長年骨に負担をかけた結果・・・と言う事は、運動をやった方が良いかどうかは想像がつくと思います。これは「長時間」と言うところが重要なのでやはり「コルセットと普段の意識」が大切になるのです。

 

特発性側弯症のカーブ(曲がり)の特徴

      


TTC横浜式側弯症コンディショニング


☆自分の状態を確認する

まずは現状を把握して頂くために、レントゲン(お持ちの方)・前後横4方向の立位写真・鏡などを用いて自分で姿勢を確認して行きます。本人にわかってもらう事が最重要ですが、年齢的な事もあり中々自分の体を客観的に見ることが難しい為、親御様のご協力が大切になります。

 

☆胸郭の柔軟性向上

現状を把握した上で「出ている所を凹ませて・凹んでいる所を開く」為の柔軟性を出します。本人が自分で行うストレッチ方法と第三者が外から緩める方法の両方を行います。理解力の高い方は、呼吸を用いて身体の中からストレッチするとより効果的です。

 

☆体幹の安定性向上

柔軟性が出て体が真っ直ぐに近づいたら、そこをキープする筋力と感覚を養います。寝た姿勢⇒座った姿勢⇒立った姿勢など体勢で重力の掛かり方が違うので姿勢ごとに練習をします。自分の状態を把握していれば、注意する点はどの体勢でもほぼ同じです。自分の状態が把握出来ていないと偏った身体の使い方になり、歪みを助長する可能性があるので注意しましょう。

 

☆足の安定性向上

最終的には「立って歩く」時に偏りが少ない状態にしていく事が重要です。その為に足の安定性も向上して行きましょう。必要な場合はインソールなどで補助する事もあります。

 

☆心の安定性向上

基本的には親御様がお子様の状態と自分の状態を受け入れる事で、お子様の心身状態は好転します。成人以上の方は、自分自身の心の詰まりを解消(デトックス)する事で、コンプレックスや感情が満たされない欲求不満が解消します。必要な方は特別なカウンセリング方法で解決致します。

 

☆実際のコンディショニング頻度は?

運動&ケアは毎日です。「ひぇ~」と思われるかもしれませんが、「良い状態を習慣化」するか「悪い状態を習慣化」するかどちらが良いと思いますか?答えは明白ですね。ただ、正直難しい面もあります。そういう時にはやはり、コルセットや私のような「強制的に整えてくれるもの・人・環境」が重要になってきます。実際に私が伺う頻度は「本人&ご家族でどれだけ正確に継続できるか」によるので、1・2週間に1回くらいから始め、1か月に1回、3か月に1回など間隔をあけてゆく事が多いです。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください!!私は諦めませんよ~!!